2018年 04月 10日
「nuance」/ 詩
また明日は 風が強まると聞く
温もったり 冷えたり
緩んだり 締まったり
凪いだり 騒いだりしながら
この季節
揺れるゼリーみたいな 春のドームの中で
生き物たちは
ゆらゆらとしている
飛び交う鳥たちの声は
それでも
春を寿ぐアリアなのだろうさ
小さな憧憬は
君の手を引いて 緑のアーチを潜り抜けること
誰もいない木陰
木漏れ日も ゆらゆらとして
悪戯な笑みを一つ
忙しくしてるだろうね
たゆたっているよ 僕は
ゆらりと
地熱が生み出す陽炎のように
行く先々の 足元の草花に
挨拶が忙しくもあるのさ
日が暮れて
星座の中を突き進む
国際線は ナイトフライト
どこか遠くを目指して
数々が飛び立ってゆく
よい旅を と
見かける度に 見送ってもいる
ゼリーのように ゆらゆらとして
春のドームの中で
ミジンコみたく たゆたっている
陽炎のような機微
とろりとした夜気を
指の間から 零しながら
明日はまた 風が強まるってね
エッシャーの騙し絵
魚が鳥に姿を変えていくように
強い風で散らばって
舞う花びらになるのもいいね
by tuchinoko-sha
| 2018-04-10 22:51
| 文芸系