「掌に静寂」/ 詩

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午後の光が射られるのは
虫食いによる 数々の小窓で
地に落ちた 細やかな木漏れ日は
忙しなく走り
まるで 束の間の鏡面反射のように
きらり
騒ぐ

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横断歩道を渡る
揚羽蝶の影を見送って
濡れ羽色とすれ違い
乾いた道をゆく

風が 夏の色を揺らし
硝子玉も溶けだしそうな
太陽の熱に包まれて
夏草の香り
蜘蛛の巣のように
光は放射状に散る

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ふとした隙に
風も止み 全ての音が止まる
切り絵の世界のような
古びた書籍の挿絵のような
そのような静寂の訪れ
気付かれないように
斜め後ろから そっと掴み取り
そっと鞄に仕舞い込む

夏の午後
掌に静寂
心騒がしくなれば
取り出して 眺めるのもよい

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by tuchinoko-sha | 2018-07-04 14:37 | 文芸系 | Comments(0)